動物医療における、麻酔をかける際の血圧の重要性

動物医療における麻酔

動物医療において手術を行う際、麻酔が必要になります。麻酔には局所麻酔と全身麻酔と分けられますが、近年では全身麻酔が一般的になってきております。
これは麻酔技術の向上、麻酔薬の発達、モニタリングによる生体情報の把握が出来るようになったのも大きな要因だと思われます。また長時間の手術、高齢動物の症例、内視鏡やCT・MRI検査も増加し全身麻酔を行わなければならない機会が増しています。

全身麻酔の三要素

全身麻酔の三要素は、鎮静・鎮痛・筋弛緩です。

動物の意識を消失させ、痛みを感じなくすることで、疼痛などのストレスから血圧が上昇してしまうことを防ぎます。また、筋弛緩させることで、筋肉がこわばって体にメスが入らなくなることを防ぐのです。しかし、鎮静・鎮痛を行いますと、自律神経が働かなくなり、血圧のコントロールができなくなります。さらに、出血によって血液循環量が減ったり、麻酔が深くなりすぎたりしますと、動物は低血圧になってしまいます。また逆に、麻酔が浅すぎたり、低酸素血症を起こしていたりしますと、高血圧になってしまいます。そのため、手術中は循環管理が必要です。輸液をして血液の水分量を補いつつ、血圧や心拍数、脈拍、尿量、出血量などを常に安全な麻酔のためモニタリングします。もし異常が起こったら、その原因を考えて対処します。

麻酔中のモニタリング

麻酔を安全に導入・維持・覚醒するために、モニタリングが欠かせません。特に、「気道」「換気」「循環」の安全が保たれているかどうかが、重要となります。

麻酔中は、血圧が上がり過ぎたり,下がり過ぎたりすることがあります。処置が遅れると脳や心臓,腎臓などに障害を起こし,生命にかかわることがありますので,常に各パラメータの数値を把握して麻酔深度、薬や点滴などにより適切な処置をします。

動物の状態が劇的に変化してから動いたのではほとんどの場合が手遅れになります。麻酔を維持している時には様々なイベントが起きます。血圧 の低下・上昇、心拍数の低下・上昇、SpO2の低下etc…それらを敏感に察知し、対処していく総合的な能力が必要となってきます。

手術が始まりますと、多様な要因により血圧の変化が現れますので、参考を以下に示します。

【例】
・交感神経刺激⇒血圧上昇、頻脈
・心臓や大動脈の圧迫⇒血圧変動、不整脈
・腸間膜牽引症候群⇒血圧低下
・迷走神経反射⇒徐脈、血圧低下 下大静脈の圧迫(腹腔内操作)
・静脈還流の減少⇒血圧低下
・四肢の駆血解除⇒血圧低下

術中低血圧について

術中低血圧は予後と関連があります。

術中低血圧は、血圧が低いほど、持続時間が長いほど、 術後の死亡率や臓器障害発生率が高くなるといわれています。よって、術中に問題となるのは,高血圧よりむしろ低血圧であり,急激な低血圧にならないように しなければなりません。このためにも麻酔中の血圧モニタリングと血圧管理は特に重要です。



お気軽にお問合せください!

動物医療における、麻酔をかける際の血圧の重要性について、ご説明させて頂きました。動物用医療機器.comを運営するメトランは、動物用血圧計の販売を行っております。動物用医療機器を幅広く取り扱っておりますので、動物用血圧計をご検討中の皆様、お気軽にご相談ください。

>>関連記事:非観血的血圧計とは?

>>関連記事:動物用血圧計とは