動物用人工呼吸器におけるファイティングとは?

動物用人工呼吸器におけるファイティングとは?

動物用医療機器.comを運営する株式会社メトランは、動物用人工呼吸器のパイオニアメーカーとして活動してまいりました。人用においても動物用においても、人工呼吸器を使用する上で、ファイティングに気を付けて設定、機器挿入を行うことが重要です。ここでは、ファイティングについて、ご説明させて頂きます。

>>知識の棚卸:”動物用人工呼吸器とは?”はこちら!

>>当社の動物用人工呼吸器”COMPOS X”の詳細はこちら!

動物用人工呼吸器のCOMPOS X

ファイティングとは?

ファイティングとは、動物の自発呼吸と人工呼吸器の強制換気のタイミングが合わず、同調していない状態のことを言います。

>>用語を解説!ファイティングとは?

ファイティングは、動物が自発呼吸しているにも関わらず人工呼吸器の送気を行うために起こるため、その瞬間は高圧状態になり、人工呼吸器側で高圧アラームが発生します。動物のファイティングの場合、人と異なり患者が苦しそうか分かりにくいことも多く、高圧アラームが発生してからファイティングに気づく事が多くなります。

ファイティング発生時のアラーム

前述の通り、ファイティング発生時には高圧アラームが発生します。これは、気道内圧が上昇するためです。気道内圧の上昇は肺の損傷に繋がることもあり、高圧アラームが発生した際は、早急に対応することが重要となります。

ファイティングを防ぐ人工呼吸器

ファイティングを防ぐ為には、動物の自発呼吸に合わせて送気を行う必要があります。自発呼吸を見極め人工呼吸器を最適に設定する必要がありますが、ベテラン獣医先生でないと見極め・設定が難しいことがあります。

そのため、SIMVモードを搭載している人工呼吸器を使用することが重要です。SIMVモードとは、強制換気と自発換気を組み合わせたモードです。自発呼吸を検知した際はトリガ機能が働き自発呼吸と同調して強制換気をおこないます。

昨今の動物用人工呼吸器には、標準的にSIMVモードが搭載されていますが、中古機や海外製の廉価品の場合、SIMVモードが搭載されていないこともありますので、注意が必要です。

ファイティングに対処するための適切な方法

動物用人工呼吸器を使用している際にファイティングが発生した場合、動物の自発呼吸に合わせて送気を行うように設定する以外に、下記のような対処を行う必要があります。

①気管内チューブの設置箇所を変更する
気管内チューブが適切な箇所に設置されていないと、チューブの閉塞に繋がりファイティングの原因となります。また、そもそも、適切な動物用気管内チューブが使用されていない場合もあります。動物用気管内チューブの適切な使用方法は下記を参照してください。

>>”動物用気管内チューブの種類と適切な使用方法”はこちら!

②吐瀉物によるチューブの閉塞
気管内チューブ内や麻酔回路に喀痰や吐瀉物をはじめとした分泌物が詰まってしまうと、ファイティングの原因になります。ファイティング発生時、人工呼吸器の設定が問題ではないと判断した場合は、気管内チューブや麻酔回路の確認が必要です。また、麻酔回路、チューブのリーク・破損が原因になることもありますので、日常点検にて問題がないか確認することも重要です。

③麻酔回路が適切に接続されていない
麻酔回路が適切に接続されていない場合もファイティングに繋がりますので、接続が緩くないかは、手術前に必ず確認しましょう。また、接続が緩いと、ファイティング発生時にチューブが外れてしまう場合もありますので、注意が必要です。

人工呼吸器一体型の動物用麻酔器 COMPOS β EA|

参考:人工呼吸器におけるバッギング

人工呼吸器において、ファイティングとは別にバッキングという用語があります。バッキングは動物用人工呼吸器においてはあまり使用されない言葉ですが、参考として説明させて頂きます。

バッキングとは?

バッキングとは、患者が大きく咳こんだことにより、呼吸器の送気が自発呼吸と合わず不同調になってしまうことです。バッキングは、気管内チューブの設置箇所が不適切で動物に刺激を与えてしまうことや、ファイティングにより発生します。

◆バッキング発生時のアラーム
バッキングは、ファイティングと同様に高圧アラームを引き起こします。ファイティングと同様に気道内圧が上昇するため高圧アラームがなりますが、ファイティングと比較しバッキングの方が気道内圧が上昇しやすいため、患者の負担が大きくなります。

◆バッキングの対処方法
バッキングで多く見られる原因として気管内チューブのサイズミス、また気管内チューブのカフ膨らまし過ぎによる気管損傷、挿管時に気管を傷つけてしまうケースです。バッキングの原因がファイティングの場合は、人工呼吸器の設定方法の変更など、ファイティングを対処する必要があります。

動物用人工呼吸器・麻酔器の使用前準備・設定方法について

動物用人工呼吸器において、ファイティングを防止するためには、動物用人工呼吸器の適切な設定方法を知り、最適な使用前準備を行うことが重要です。動物用人工呼吸器の操作方法・使用前準備に関しては下記ページにて詳しく解説しておりますので、ご参照下さい。

>>”動物用人工呼吸器の操作方法・使用前準備”について、詳しくはこちら!



お気軽にお問合せください!

動物用人工呼吸器におけるファイティングとバッキングについてご理解頂けましたでしょうか。動物用医療機器.comを運営する株式会社メトランは、動物用人工呼吸器・麻酔器の国内パイオニアメーカーとして活動してまいりました。人工呼吸器・麻酔器・気化器において、お困りごとやお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。